金融庁、「令和5年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案」等を公表
2023年12月8日、金融庁は「令和5年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案」等を公表しました。
2023年12月8日、金融庁は「令和5年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案」等を公表しました。
1.概要
本改正案等は、令和5年(2023年)11月20日に成立した「金融商品取引法等の一部を改正する法律」(以下「改正法」という)のうち、四半期報告書制度の廃止に関する規定の施行に伴い、関係政令・内閣府令等の規定を整備するためのものです。なお、本改正案等で用いられている一部の名称は仮称であり、企業会計審議会等における議論の結果を踏まえ、名称が変更される可能性があります。
本改正案等の主な内容は以下のとおりです。
(1)半期報告書
- 上場会社等が提出する半期報告書に関する規定の整備「金融商品取引法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」の主な内容は、以下のとおりです。
- 改正法により四半期報告書等に関する規定が削除されたことに伴う、四半期報告書等に関する条文(改正法による改正前の金融商品取引法第24条の4の7及び第24条の4の8)の削除
- 四半期報告書を提出しなければならない会社の範囲に関する規定について、半期報告書を提出しなければならない会社の範囲に関する規定として改定
- 四半期報告書の提出期限に関する規定について、半期報告書の提出期限に関する規定として、以下のとおり改定
上場会社等(右記を除く) | 上場会社等のうち金融システムの安定を図るためその業務の健全性を確保する必要がある事業を行う会社 |
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半期決算後45日以内の日 | 半期決算後60日以内の日 |
- 半期報告書に含まれる中間財務諸表に関する規定の整備改正前の四半期財務諸表及び中間財務諸表について、以下のとおり改正されます。
財務諸表 | 規則 | ||
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改正前 | 改正案 | 改正前 | 改正案 |
四半期財務諸表 | 第1種中間財務諸表 |
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左記の内閣府令を廃止し、以下に第1種・第2種中間財務諸表の作成方法等を含め規定
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中間財務諸表 | 第2種中間財務諸表 |
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第1種中間財務諸表が含まれる半期報告書については、令和4年(2022年)12月に公表された金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告(以下「DWG報告」という)における、「上場企業の半期報告書については、現行と同様、第2四半期報告書と同程度の記載内容とする」との提言に基づき、改正前の第2四半期財務諸表が含まれる第2四半期報告書と同程度の記載内容となっています。ただし、第1種中間財務諸表等に適用される会計基準については、現在、企業会計基準委員会において議論が行われているところであり、その基準案の内容を踏まえた修正が行われる可能性があります。
また、第2種中間財務諸表が含まれる半期報告書については、改正前の中間財務諸表が含まれる半期報告書と同程度の記載内容となっています。
(2)臨時報告書
- 以下の事項について、臨時報告書の提出事由に追加
- 「企業・株主間のガバナンスに関する合意」の締結・変更
- 「企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意」の締結・変更
DWG報告で、四半期報告書において、直近の有価証券報告書の記載内容から重要な変更があった場合に開示が求められてきた事項については、臨時報告書の提出事由とすることが考えられるとされたことを踏まえ、改正されるものです。
2.施行日
パブリックコメント終了後、所要の手続を経て公布され、施行日は令和6年(2024年)4月1日となる予定です(参考1、2)。なお、改正後の規定のうち、有価証券報告書等の様式に係る規定の適用については、以下の予定です。
有価証券届出書及び発行登録書(企業内容等の開示に関する内閣府令(以下「開示府令」という)第2号様式等) | 施行日以後最初に有価証券報告書を提出した時から適用(改正法附則第3条第2項の規定により、改正後の規定に基づく半期報告書を提出する会社にあっては、施行日以後最初に当該半期報告書を提出した時から適用) |
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有価証券報告書(開示府令第3号様式等) | 施行日以後開始する事業年度に係る有価証券報告書から適用(改正法附則第3条第2項の規定により、改正後の規定に基づく半期報告書を提出する会社にあっては、施行日以後に提出する有価証券報告書から適用) |
臨時報告書(開示府令第19条第2項第12号の2及び第12号の3) | 令和7年(2025年)4月以後提出されるものから適用 |
(参考1)四半期報告書は、施行日以後開始する四半期会計期間に係るものから提出が不要となりますが、施行日前に開始する四半期会計期間に係るものについては提出が必要です(改正法附則第2条第1項)。
(参考2)改正後の規定に基づく半期報告書は、施行日以後開始する事業年度に係るものから提出する必要があります(改正法附則第3条第1項)。なお、施行日前に事業年度が開始し、かつ、施行日以後に第2四半期会計期間が開始する会社(12月期決算会社、1月期決算会社及び2月期決算会社)については、当該四半期会計期間が属する事業年度に係るものから、改正後の規定に基づく半期報告書を提出する必要があります(改正法附則第3条第2項)。
執筆者
会計プラクティス部 マネジャー 秋本 祐哉