Insurance - IFRS第17号「保険契約」への移行~2019年4月のTRGでの議論~
保険契約の新しい基準書であるIFRS第17号に関連する、多くの重要な解釈上の疑問が市場関係者から寄せられています。
保険契約の新しい基準書であるIFRS第17号に関連する、多くの重要な解釈上の疑問が市場関係者から寄せられています。
Article Posted date
05 April 2019
IFRS第17号を解釈し、実務における多様性を軽減すべく、IASBはTRG(Transition Resource Group)を設置しています。TRGの会議が2019年4月に行われました。
TRGは会計基準設定主体ではありません。TRGという公式の会議の場を設定することで、市場関係者が解釈上の疑問点に関する協議を捕捉できるようにすることを目的としています。
2019年4月のTRG(Transition Resource Group)での議論
1.保険契約に含まれる投資要素
IFRS第17号において、保険会社は保険契約に含まれる投資要素を識別する必要がある。
この要件により、以下のような論点が生じる。
- 保険契約が投資要素を含んでいるか否かをどのように決定するか
- 投資要素を含んでいる場合、その投資要素は元の保険契約から分離して測定されるべきものか
- 分離されない投資要素の場合、投資要素は保険収益や保険サービス費用から控除することとなるが、その金額をどのように決定するか
TRGメンバーの議論において挙げられたポイントは、保険会社が投資要素に係るIFRS17の要件を適用する一助となるであろう。
2.その他の論点
TRGメンバーは寄せられた複数の質問についても報告した。多くの質問についてIFRS17の要件は明確であったが、以下を含むいくつかの論点については興味深い議論がなされた。
1)保険キャッシュ・フローの測定 TRGメンバーは以下について議論した。
- インフレーション前提の変更
- 非金融リスクに係るリスク調整の決定における再保険の考慮
- 基礎となる項目の変動による履行キャッシュ・フローの変動の認識
2)変動手数料アプローチの適格性 3)非金融リスクに係るリスク調整の変動の分解
次のステップ
2019年5月のIASB会議において、TRGメンバーによる議論のうち、4月のIASB会議で対処されていない論点が報告される予定である。議論された実務上の質問に対処すべきか、どのように対処すべきかについてIASBが決定する際に役立つであろう。
TRG会議は今後予定されていない。TRG会議の開催は寄せられる質問の数や性質によって決定されることとなる。